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「・・・さ、ま?」
その瞬間、何が起こったのか彼には解らなかったに違いない。ただ大きく見開かれて相手を凝視する目は直ぐに濁っていく。胃の腑から血が逆流して口元を汚した。
隣に立っていた同僚は既に動かず、砂っぽい地面に倒れて青黒い血溜まりを作っている。この惨劇に人々が気付くのは少し先の話になるだろう。
速やかに混濁して行く意識を何とか取り戻そうという彼の努力は徒労に終わり・・・そうして目の前の人は、その人には決してあり得ない歪んだ笑みを湛えて彼の横を走り過ぎていった。
薄靄のまだ漂う明け方。
町はまだ目覚めたばかりであったが、城内にあるアストラル騎士団の修練場は凛とした緊張感に満ちていた。筋骨隆々としたハイランダーの団員達が模擬刀を振るって今朝も訓練に励んでいる。吐く息は真っ白く、剣風に散らされる。
木刀の打ち合わされる鈍い音は堅固な城壁に反響し、まだ城内で微睡んでいる者達の耳にまで届く。お陰でこの城の目覚めは早い。
今日もまだ暗いうちから目の覚めてしまったメイドのメアリは欠伸をかみ殺しつつ廊下を掃き清めていた。見渡す限り城内にまだ人影は無く、こだまする剣戟を除けば他に音と呼べるものは帚が石造りの床をこする音だけだった。見張りの兵士がいるのはもっと上階か、さもなければ城門だ。
「あぁ・・・眠いよぉ・・・」
目が覚めたとはいえ、眠気が完全に無くなったわけではない。メアリは寝床を出てしまったことを後悔した。何もこんな寒い中にわざわざ出てくる必要は無いのだ。しかし彼女に与えられた部屋は特に修練場に近かった。よって毎朝この位の時間に叩き起こされてしまうので、彼女としてもこの場所的不利益を何とか解消しなければならなかったのだ。そうしなければ、彼女にとってアストラル騎士団はほぼ騒音公害と同義でしかない。
メアリは帚を動かすことに神経を集中することにした。
広い廊下を何とか一本掃き終わり、昨日の往来者の立てた埃を一ヶ所に集めた所で彼女は周囲に人がいないのをいいこと思い切り伸びをする。何だかこの城全体が自分のものになった様な気がして、彼女は手近な階段の内の一つに腰掛けて一休みすることにした。外の清々しい空気は城内にも忍び込んでいる。
ここに雇われるようになってからまだ日が浅く、その上連日叩き起こされていて疲れが溜まっていたのだろう。ぼんやりとしていた彼女は後ろからの気配に全く気付いていなかった。
階段を降りてきたのは鎧を纏った戦士風の人間である。腰には一対の短剣を携え、ここがアストラル城であることを考えるとこの人は恐らく騎士である。騎士はメアリの座っているやや上段で足を止め、戸惑った様であった。無理もない。
騎士は彼女の着ている服がこの城の使用人のものであるのを確かめ、声を掛けた。
「おい、こんな所で何をしているんだ?」
いきなり上から振ってきた問い掛けにメアリは我に返って飛び上がり、その人物に向き直った。
「あ、あのっ、申し訳ありませんっっ!」
「・・・・・・は?」
いきなり謝られて、その騎士は図らずも間の抜けた返事を返してしまった。しかしメアリはそんなことに気付きもしない。この様子だと自分に声を掛けたのが誰なのかも判っていないだろう。
「一体、何を謝っているんだ?」
怪訝そうな顔をする相手はまさかメアリが騎士団を公害同様に思っているとは解らないだろう。相手に自分を叱責する意志が無い事を知ると、若いメイドは恐る恐る顔を上げた。
そうして初めて誰が目の前に立っているのかを理解する。
「フィア様・・・」
その騎士は驚くべきことに若い女だった。しかしこの城で彼女の事を知らない者などない。何故ならば彼女はアストラル騎士団でただ一人、騎士長を務める女性であるからだ。そして同時に騎士団長の娘でもある。燃え上がる様な赤い髪を短く切りそろえ、簡素な鎧を纏っているその格好はそこいらの娘のするものではなかったが、しかしこの騎士長にはそれが実に様になっていた。
「ここで何をしているんだ?」
フィアは問を繰り返した。とはいえ口調は単純な疑問を表していて穏やかなものだ。彼女はメアリが返事をする前に階段を降りた所の壁に帚が立てかけてあるのを発見し、メアリの顔を見て、彼女の状況を理解した様であった。一人頷く。
「こんな朝早くから仕事をしているのか、大変だな。御苦労」
「は、はい!」
今度はメイドの方が間抜けな返事を返してしまい、言ってしまってから赤くなってうつむいた。若き騎士長が難しそうな表情を崩しかけているのにも気付かない。
「だが、あまり無理をするなよ。いざという時に体が利かなくなるものだ」
朝には滅法強いらしいこの騎士長は、自分のするべきことを思い出して颯爽と寝不足のメイドを追い越し、階段を降りていった。
後に残されたメアリの眠気は完全に飛んでいる。密かに憧れていた騎士長と言葉を交わせたのだ、彼女は誰が言ったか判らないとある格言を噛みしめていた。
すなわち早起きは三文の得、と。
魔物の脅威から国を守る為に騎士団の果たす役割は、大きい。
アストラル傭兵の優秀さは世界中で・・・魔界との勢力争いの最も激しいとされるシルヴァラント王国でさえも定評がある。そうした傭兵達の多くは、この騎士団から輩出された。騎士とはいえ、騎乗戦の訓練ばかりをしているわけではない。山岳地帯に居を構えるアストラル王国ではむしろ馬を降りた戦いが重要であり、あらゆる白兵戦において彼等の能力はいかん無く発揮された。
「違うっ!!」
投じられた短い木片が相手の剣を弾き飛ばした。重い音を立てて地面に落ちるそれを見もせずにフィアは自分の隊に属する戦士を一喝する。最近入ってきたばかりの若者だった。年の殆ど違わない、それも女に大音量で怒鳴られて彼に返す言葉は無い。
「もっと相手の間合いを見ろ、お前の動きでは確実に私にやられているぞ」
軌道を変えて自らの手の内に戻ってきた木の棒、短刀を模したそれを相手に突きつけてフィアは冷たく言い放つ。
「次っ!」
そしてまた鈍い音が空気を震わせる。
戦い以外にも何かと雑務の多い騎士長が直接部下に稽古をつけることはあまり無い。実際、フィアも毎朝部下の指導をするわけではなかったが、それでも他の騎士長に比べればまめな方だと言えるだろう。
彼女がまた一人、相手の剣を弾き飛ばした時。修練場の一角がにわかに騒がしくなった。
「騎士長、騎士長はおられるか?!」
荒い息で駆け込んできたのは兵士だった。服装から見ると伝令の者らしい。彼は周囲の戦士達に教えられてフィアの方へと真っ直ぐ走り寄ってきた。
「フィア様、昨夜タトローイでアストラル洞窟警備の任に当たっていた兵士二名が何者かに殺害されたとの報告がありました。洞窟への侵入者と思われます」
「何だと、侵入者?」
「はい。警備の者は交代の兵が発見した時には既に事切れており、詳しいことは解らないのですが、洞窟から出てきた魔物とは考えられないそうです」
兵士は緊張した面持ちで一呼吸おいた。
「最近の動向から考えるとアストラル侵攻を目論む魔王の手の者である可能性があると・・・」
魔王、の言葉に騒めきが引いていく。
「解った、私の方からウォーレン様には伝えておこう。後は任せる」
木刀を副長に預けて直ぐに身を翻したフィアは、にわかに吹き出してきた嫌な予感を踏みしだくかの様に固い靴音をたてながら修練場を後にした。
紅一点の騎士長を注視していた男達は、促されて再び各々の修練へと戻って行く。いつも通りの朝の風景の再開である。
こうして堅固なアストラルの城に不吉な情報の舞い込んだ日の午後、ラティクス達を乗せた定期船は到着した。
「やっぱりタトローイに戻ったほうがいいんじゃないの?」
近付いて来る桟橋にこっそりとついた溜め息は、しっかりと仲間に聞こえていたらしい。
「何言ってんだよ、別に俺はここに来ることなんざ、何とも思ってねぇんだ。大体ここで戻ったら船代が勿体ないだろうが」
シウスは隣人に言い返す。とはいえその語調は少々普段よりも元気が無かったが。
運河を遡る船旅は、実に快適なものであった。速度はあまり出ないものの、外洋を渡る定期船に比べて揺れも少なく、第一、安全だった。それ程長い旅ではないので、彼等はこの時間をそれぞれの自由行動に当てることにしたのであるが、その休息もそろそろ終わる。
いかにも憂鬱そうにその『時』を待っているシウスに、今度はからかう様な声が掛けられた。
「あらぁ、その割には元気無いわね、その尻尾」
「こら馬鹿っ、そんなとこ見てんじゃねえよっ!」
尻尾の無い奴に言われたかないわい!と憮然とするシウスは、はいはいと軽くあしらわれて更に不機嫌になる。どうして彼女が隣に『いてくれるのか』、そんなことには考えが及ぶ筈も無く。そうしてそこに救い主が現われた。
「まぁまぁイリア、こやつをそんなにいじめんでやってくれ。シウスもシウスなりの事情があっての」
甲板の向こう側からやってきたのはアシュレイとラティクスだった。
「もう準備は出来たんですか?」
「ええ。後は降りるだけよ、アストラルに」
イリアの視線に促され、ラティクスは再確認の為にもう一度シウスに尋ねた。
「本当にいいんだな、シウス。先に戻っててもいいんだぞ?」
「俺の事なら気にしないでくれ。ほんとに平気だからよ」
彼はそう断言して、船縁に背を向けた。隣に立つアシュレイは微かに頷いた様である。
どうやらこの偉大な仲間は全ての事情を諒解しているらしい。一体シウスの身の上に何があったのだろうかと、ラティクスの胸中に問いただしたい好奇心と立ち入るべきでないという戒めの気持ちが錯綜したが、その時、接岸の合図が船上の全ての動作を中断させたのであった。
合図に次いで慌ただしく積荷の移動が始まり、乗客達が桟橋を渡って港に降り立って行く。港を組み上げている石が平地よりも少し近い太陽を反射する。この地は昼夜の寒暖差が激しく、最も気温の高い時分には軽く汗ばむほどだった。
一行は船を降り、城下へのほぼ唯一の窓口である港を抜けて町に入る。
町は整然としていた。同じ城下でも貿易で栄えるポートミスとは全く雰囲気が異なる。街道とは違って手入れが行き届いた路面、区画整理のうかがえる建造物の配置。町のそこここには巡回の兵士が見られ、治安はすこぶる良さそうだった。
「立派な町だな」
一際立派な街路樹の下でラティクスは兵士が通り過ぎて行くのを眺めながら、そう評価した。ここならばどんな路地裏も安全そうだ。
「そりゃ、まぁな。ここはアストラル騎士団の本拠地なんだぜ」
「だからあまり冒険者の寄り付く様な場所では、ないの。捜し人もヌシ達と同じ冒険者なんじゃろ?」
「その辺の所は微妙なんですけれど・・・。でも、ここなら艦長達が来ていれば直ぐに解りそうよね」
ラティクスは頷いた。もっとも、殆ど唯一の交通である定期船の乗組員達からはそれらしい人物の情報を得られなかったので、今回も望み薄だろう。
懐かしそうに周囲の町並を眺めていたアシュレイは、ラティクスとイリアの尋ね人捜索計画をしばらく聞いていたが、やがて口を開いた。
「ところでその捜し人、儂も手を貸した方がいいかのぅ?差し支えなければ知人を尋ねてこようと思うんじゃが」
そういえば、帰郷するって言ってたよな・・・ラティクスは闘技場で耳にした噂を思い出す。是非も無い、彼は即、頷いた。
「全然構いませんよ。すいませんアシュレイさん、僕達のせいで煩わせてしまって」
「いや、儂の方こそ勝手なことを言ってすまぬ。しからば、後程宿で落ち合おう」
慣れた足取りで去っていくアシュレイの後ろ姿を見送りながら、ラティクスは尋ねる。
「シウスは誰か会いたい人とかいないのか?」
「あ、俺か?」
「聞いたけど、ここってシウスの故郷なんでしょう?家族にくらい、顔見せておいてもいいんじゃない?」
「こっちは俺達だけでも大丈夫だよ。気にすることないから、・・・やっぱり会える内に会っておいた方がいいんじゃないか?」
シウスは少し顔をしかめた。
「いや、俺はいいんだ。元々、今、ここに戻って来るつもりはなかったからな」
それに、俺のことはアシュレイのじーさんが伝えてくれるだろうさ・・・シウスはタトローイで彼に再会したことが自分にとって吉凶、どちらに出るのだろうか、とふと思った。
「さて、先に宿をとっちまおう。人探しは荷物を置いてからにしようぜ」
二人を促して歩き始めようとした時、大通りをやってくる影が目に留まった。イリアが感嘆の声を上げる。
「ねぇ、あれって騎士でしょう?すごい、本物なんて初めて見たわ」
内心で当たり前だけれど、突っ込みを入れながらイリアは、騎士が石の路面に蹄鉄をの音をさせながらこちらの方にやって来る姿を見つめた。見事な純白の馬だ。体格はがっちりとして、馬上の人が小さくすら見える。
へぇ、あれがアストラルの騎士なのか。ラティクスは不思議な気持ちでその人馬を眺めていた。彼も、実物を見たのは初めてである。騎士は二人の兵士を従えており、巡回というよりは何処かへ向かっている様であった。そして彼は一つ、奇妙な事に気が付いた。
「イリアさん、あの騎士、女性ですよ」
「本当ね。騎士って女の人でもなれるのかしら?」
騎士は赤い髪の鮮やかな、確かに女だった。しかもまだ若く、ラティクスよりも少し年上、と言ったところだろうか。けれども鎧に身を包んで馬にまたがっている姿からは、従えている兵士を遥かに圧倒する気迫が感じられる。面持ちは固く、何かに急いでいる様だった。
シウスはちょっとの間、その騎士のことを凝視していたが直ぐに目を逸らした。
「まぁな、それよりとっとと行こうぜ。あんなもん見てても何も面白くねぇよ」
早足でその場を去ろうとする彼に、ラティクス達は慌てて従う。
「待て、そこの男」
馬上から声が降ってきた。蹄の音は絶えている。
シウスは不機嫌そのものの口調でそれに応じた。
「何だよ」
「こちらを向け」
唐突に声を掛けた騎士に対し、シウスは嫌そうに後ろを振り返った。
「俺に何の用があるってんだ、フィア」
「・・・やはりシウスか。今更ノコノコと何をしに戻って来た、裏切り者が」
シウスに名を呼ばれた騎士、フィアは赤い瞳に怒りとも軽蔑ともつかないきっとした視線を彼に向け、苛立たしげな表情を隠しもしない。従者達は何が起こったのかと戸惑うばかりである。同様にラティクス達も事態を把握出来ず、両者の睨み合いをただ見ていることしか出来なかった。
僅かな沈黙の後、シウスはごく普通に答えを返した。フィアに比べると、彼にしては意外なことに感情的ではない。むしろ投げ掛けられた言葉に対し、静か過ぎる対応だった。
「別に戻ってきたわけじゃねぇ。たまたま立ち寄っただけだ」
騎士は一瞬、怒りとは別の顔を見せ、顔を背けて手綱を握り直した。
「・・・・・・ならば、さっさとこの町を出ていけ。お前はウォーレン様を裏切った。・・・いや、ウォーレン様だけではない、皆を裏切ったんだ、もう二度とここに現れるな!」
吐き捨てる様な言葉を残して、フィアを乗せた馬は歩きだした。兵士達がそれに従う。一分にも満たない短い時間だったが、脱力するのをラティクスは感じた。
「・・・シウス・・・あの人は・・・」
「すまねぇラティ、何も聞かないでくれ」
溜め息をついたシウスがあまりにも疲れて見えたので、彼はそれ以上何も言わなかった。
「あの人、とても哀しそうだったわよ・・・」
「そうか?じゃあ明日は槍でも降るかもな」
そうしてシウスは何事もなかったかの様に、通りを歩き始めた。
何なのだ、あの態度は?!
馬を進めながら、フィアはきつく奥歯を噛みしめていた。
「しかも、よりにもよってこんな日に再会するなんて・・・」
「何か言いましたか?フィア様」
「いや・・・何でもない」
仕事さえなければ、あの場で締め上げていたものを。
市街の警備状態を確認しなければならない彼女に、下らないことに割いている時間は無かった。
だがこの再会に、少なからず衝撃を受けたフィアは、忘れもしないあの日・・・シウスがアストラルを出て行った日のことを思い出していた。
あの頃、騎士団は団長であるライアス=ウォーレンが息子であるシウス=ウォーレンを騎士長に推した、ということで動揺が走っていた。元来、どんなに有能な人物であっても己の子供に対してはその目も霞むものである。騎士団では、ライアスもまたその例に違わず誤った判断を下したのだという意見と、シウスその人を知る人々からの擁護の意見とが対立した。それでも騎士団長の判断は大きな偉力を持っており、シウスの騎士長就任はほぼ確定していた。
当たり前の話であるが、その頃、シウスへの誹謗中傷は耐えなかった。
幼い時にライアスに養子として引き取られ、シウスとは兄妹同様に育ったフィアは、当時そんな兄をとても心配したものである。彼女自身も剣術をたしなんでおり、騎士として群を抜いた強さを誇ったが、兄はそれ以上に強く、そして人望も厚かった。騎士団長を父に持ちながら、それを鼻にかけない姿は強さが絶対であるというアストラルの気風そのものだったのだ。
フィアは、シウスが騎士長となることを全く疑っていなかった。
それが、突然の出奔。
彼は騎士長の職に怖じ気づいて逃げ出したのだ、誹謗中傷に耐えられなかったのだ・・・その後しばらく騎士団ではそんな噂が囁かれた。
義父であるライアスが息子の一見裏切りにすら見える行為をどう受け止めたのか、それは定かではない。しかしフィアには許せなかった。シウスが騎士長となることを疑いもしなかった自分が裏切られた気がしたのだ。シウスは、フィアにすら何の相談もせずにアストラルを去ったのだから。
あの日以降、フィアはシウスの存在を忘れ去ることに努め、シウスの代わりとなることに努めてきた。相当な苦労を強いられながらも騎士長の地位を獲得したのは、勇敢な息子を失ったライアスの為を思ってのことでもあったのだ。
それを・・・今更、どうしてここに現れたのか。
彼女は明らかに動揺していた。
あれ程の怒りを感じていたにもかかわらず、シウスがここに戻ってきたのではないと知った時、彼女はどこかで落胆したのだ。それはシウスが戻ってくるのを望んでいたということであり・・・
認めがたい自らの心に、フィアは溜め息をついた。