謎:ルシフェルは何故裏切ったか
仮説1
ルシフェルが打倒ガブリエルを目指し、ミカエル以下の八賢者の抹殺をも目論んでいた事実は、ルシフェル戦での彼自身の言葉によって明らかになっている。しかし何故、同胞である筈の九人の賢者達をルシフェルは排除しようとしたのか。確かに彼等の言動から察するに、「神の十賢者」達は互いにあまりよい感情を抱いていないようではある。(仲間意識が結構欠如している様な気がする)
けれども、少なくとも積極的に他の賢者を潰そうとしていたのはルシフェルだけであった。何がルシフェルにそうさせたのか。それが提起者である Filia Gabriel さんの疑問だったのではないだろうかと私は思っている。(違ったらすいません)

それでは、ルシフェルの行動を考える前に、ルシフェルが元来持っていた機能について確認してみよう。
Lucifer[十賢者監視用素体] 強力な防衛兵器として作られた十賢者、彼らが反乱を起こした場合、その侵攻を止めることは非常に困難になる。ルシフェルはそのような緊急時を想定して作られた監視用素体である。そのため他の素体より戦闘力、情報収集力など総合的に優れている。
《ファミ通 STAR OCEAN THE SECOND STORY FINAL GUIDE 》
また、元々十賢者全体にまたがる命令系統は存在しておらず、彼等は
・『ミカエル』を頂点とする『ザフィケル』『ジョフィエル』『メタトロン』の戦術用素体
・『ハニエル』を頂点とする『サディケル』『カマエル』『ラファエル』の民衆統括用素体
に大別され、この枠の外にルシフェルとガブリエルは存在している。

この事実を踏まえると、ゲーム中では戦術用素体と民衆統括用素体の下っ端三人達の仲があまりよろしくなかったのかな、と十賢者の人間模様が見えてきそうな気がするが、それは置いておくとして、上記したものは、軍事生体兵器としてルシフェルに与えられた役割を表している。
見れば判る様に、ルシフェルが他の賢者・・・素体と明らかに違っている点は、彼が「他素体を監視する」素体であるという所だ。つまり、彼は最終破壊兵器『ガブリエル』よりも、重要な地位にあると言える。

シークレット情報によると、十賢者の変貌はランティス博士による、十賢者の最終目的の『辺境惑星の管理』から『全宇宙の破壊』への書き換えに起因しているらしいが、ルシフェルが全宇宙の支配を謳っているところからすると、実際に最終目的に設定されたのは『全宇宙の支配』なのかもしれない。これはガブリエルの最期の台詞「支配出来ないならば・・・」の部分にも表れている。
少なくともランティス博士がガブリエルに自身とフィリアの思考ルーチンを組み込んだ時点で、『全宇宙の破壊』という考えは薄れていると思われる。ランティス博士はフィリア(の思考ルーチン)と共に存在し、実在のフィリアを殺した世界に対しての報復することを望んでいたのだろう。それがすなわち『全宇宙の支配』なのである。
何故ここで十賢者の最終目的について言及したのかというと、もしも彼等の目的がシークレット情報通りの『全宇宙の破壊』であったならば、ルシフェルの行動が理解できないものになってしまうからである。よって、ここからは十賢者の最終目的を『全宇宙の支配』と仮定して話を進めることにする。

ここでやっと本題に入るが、ルシフェルはどうして唯一の支配者になろうとし、結果的に他素体の抹殺をしようとしたのか。

一番の原因は、彼自身に《監視者》としての優越感が存在していたことではないだろうか。
元々、十賢者は『第一次十賢者防衛計画』というプロジェクトの下に作成されたネーデ人の為の生体兵器だ。だから十賢者の上には常にネーデ人がおり、ネーデ人が指示を出して十賢者を操作するという命令系統があった筈である。一見リーダー格に見えるガブリエルも実際にはただの最終破壊兵器であって、『十賢者統括用素体』などというものはいない。どうして彼がラスボスなのかといえば、ランティス博士の思考ルーチンが組み込まれているからであって、決してガブリエル本来の特性の為ではないのである。
一連の事件によってネーデ人という命令を与える者が消えてしまった事で、元々生体兵器として十賢者に設定されていた特性はあまり意味の無いものになってしまった。つまり、ネーデ人という同一の主人を持つことによって結びつく筈であった十賢者は、ゲーム中では全くバラバラの存在であったということだ。だから、
・『ミカエル』を頂点とする『ザフィケル』『ジョフィエル』『メタトロン』の戦術用素体
・『ハニエル』を頂点とする『サディケル』『カマエル』『ラファエル』の民衆統括用素体
の二つの縦の関係と、『ミカエル』『ハニエル』間の連結によってこの八賢者間のまとまりはかろうじてとることが出来ても『ガブリエル』『ルシフェル』に十賢者としてまとまろうという意識は無いのではないか、と推測することが出来るのである。

以上から、「他素体よりも優れている」という意識をルシフェルが持っているとすれば、彼が『全宇宙の支配』という目的に向かって自らよりも劣り、支配者に相応しくないと思われる他賢者達(この意識はガブリエルに対しても同様に適用されると思われる)をあわよくば抹殺しようとした行動も、考えられないことではないだろう。
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