クリクの地震は、はっきり自然災害だと考えられる。
まず、地震の後すぐにクロス王に謁見すると、「震源はクリクの沖」とレナが断言する。なぜレナがそんなことを知っているかはさておき、クリクの沖とはとりもなおさずエル大陸の(あるいは港町テヌーの)沖であり、つい三ヶ月前に隕石がおちたばかりだ。海底プレートがゆがんでいたとしても不思議はない。
ではなぜ十賢者の仕業でないと言い切れるか。それは、魔物軍が一向にクロスを攻める様子がないからである。地図を観ればわかるとおりクリクはクロスにとって北の要衝であり、そこをぬかれると北側は丸裸同然。鉱物資源、国土、産業、どれをとってもラクールより大きいクロス大陸を無視して軍事大国ラクールを先に攻めたということは、十賢者がエクスペルの地理を理解していなかった証拠である。「クォドラティックスフィア(エナジーストーン)の奪取が目的だったからラクールを攻めた」という意見もあるがそれも没。ホフマン遺跡周辺に十賢者の陰は見あたらない。例外はエルネストにとりついたゴーストだが、彼は遺跡には入らず外で待っていた。ゴーストは確証がもてなかったのだ。つまり、此の時点で十賢者はQ.Sの正確な位置をつかんでいなかった。世界規模の探索をよぎなくされた十賢者があえてクリク跡地からクロスに侵入しなかったのは、あの地震がラクール部隊編成の矢先のできごとではなかったかと考えられるのだ。